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小笠原和生

An article about HYPONIC written by a Japanese FM radio program, 2010


日本FM電台對HYPONIC的報導 An article about HYPONIC written by a Japanese FM radio program. 生命の躍動感に満ちあふれた夏も過ぎ去り、季節は秋へ移行してきている。日本に住む者なら、この時期は何かしら情緒的な事柄を求めがちであり、音楽だって胸を締めつけるような泣きのメロディや枯れた味わいのバラードでこっそりと涙してみたくもなるだろう。 しかし、政治にしろ物価にしろ、世の中の動きが強烈なこの時代、ヘヴィ・メタル好きなら表向きはエクストリームに決めてみたい。 はしゃいで過ごした夏の次は一気に暗黒世界へズブズブと沈んでみよう。 1996年に三人組で結成された香港のHYPONIC。2001年に自主制作でリリースした『Black Sun』の時点では、中心人物にしてオリジナル・メンバーであるRoyが好きだと語っている90年初頭の北欧デス・メタル/ブラック・メタルの影響下にあるサウンドではあるが、当時の香港で、このような強烈な音楽性を維持して活動できていたのHYPONICぐらいのものであり、このHYPONICこそが香港のエクストリーム・メタルのパイオニアとして認知されている。 その後、2002年にシングル「Metamorphosis」、2004年にDEATHのカヴァーである「The Philosopher」でコンピレーションに参加するのだが、ここで、バンドはデス・メタルからドゥームへ音楽性を変えてくる。 「The Philosopher」にいたっては倍の長さの尺になっており、聴けば原曲を思い出せなくなるほどのアレンジ。 そして、2005年にリリースされた『The Noise Of Time』においては、アメリカやヨーロッパ圏でも流通したことによってバンドの名前は一部のマニアに知られることとなった。 この10分前後の曲ばかり4曲収録したセカンド・アルバムでバンドが見せたのは、フューネラル・ドゥームとも呼べる、徹底して速度を落としたテンポ、不穏で湿ったメロディと地の底で這うように唸る低音ヴォーカル、そして残響。 音質的な重さというよりもよりも、息苦しくなるほど空気が暗くて重い。それ は時に恐怖を呼び起こし、まるで湿度の高い地下墓地でネットリとした闇に包囲されながらあてもなく徘徊しているているような錯覚すら覚える。是非、寝るときに集中しながら聴いていただきたい。 そしてバンドはこのアルバムを携えて、翌2006年に中国大陸での8都市9回のツアーを成功させ、その存在を強くアピールしたのだが、それ以降アルバム制作についての具体的な話はなかなか伝わってこなかった。 しかし、前作から5年。この夏、バンドは次のアルバムのためのデモ作りを開始していたことが判明。参考程度に初期段階のアイデアを聴かせてもらった。 前作の延長線上ではあるが、作曲を行うRoyは最近ではアンビエントな音楽もよく聴いているらしく、空間の広がりと残響音にその影響は表れていたと思う。 また彼は「もはやメタルかどうかもわからないし、自分でもジャンル分けできない」と語っていたが、確かに、曲によってはメタルとは言えないものも含まれていたかもしれない。 しかし、「今回のアルバムの為に20曲書いて全部ボツにした。どうしてもHYPONICならではの個性的な唯一無二のスタイルを手に入れたいんだ」というRoyの話に耳を傾けていると、次作はどん なスタイルになるにしろ、彼の持つアイデアを突き詰めていけば、現代アート的な雰囲気の様相を呈する部分もかいま見られるのではないだろうかと想像してしまう。 ハードコアやエモ系のバンドが多い現在の香港だが、こうしてエクストリーム・メタルのパイオニアが生き残り、バンドに磨きをかけながら新たな地平へと挑戦して行く姿は美しい。今から彼らの新作が楽しみでならない。 <小笠原和生>


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